各地で新年の準備が進む。

 西暦2023年の3月21日はイラン歴の新年であるノウルーズにあたる。三年を間近に控えたイランでは各地でその準備が進められている。 
 ノウルーズとはイラン歴における元日であり、日本語で直訳すると「新しい日」と訳される。暦の上での新年を今更だけに収まらず、春を祝う祭りとしての側面もあり、日本における「春分の日」とほぼ同様の性質を持っている。ノウルーズはイラン人にとって欠かすことの出来ない伝統行事であり、その歴史は太古に遡ることができ、イランが影響を与えた広範な他地域においても同様の催しを垣間見る事が可能である。

 イランのノウルーズの特徴としてハフト・スィーン(Haft Sīn:7つのS)がある。これは頭文字がスィーン 「Sīn 」で始まる7つのものを集めた装飾を通して祝われる。ハフトスィーンは
健康、美、実りを等象徴するリンゴ(sīb、سیب)
人生における喜びの象徴で、健康を保つための薬ニンニク(sīr、سیر)とスーマック((en、ウルシ科)の実(Somāq、سماق)
忍耐の象徴である酢(serke、سرکه)
愛情や生の象徴であるヤナギバグ(Senjed、 سنجد)
再生や喜び、自然と人間の生活の結びつきを示している青草(sabzeh、سبزه)
植物の生育と実りの象徴である甘いプディングのサマヌー(Samanū、سمنو)
の7つで構成される。
 また、イランではハフトスィーンの他に創造の象徴である卵、統一や明るさの象徴である鏡、人生における清らかさ・恩恵の象徴である水、イラン暦最後のエスファンド月を示す、活力や人生の象徴である金魚、そして、商売の繁盛や投資の象徴であるコイン、明るさや熱、光の象徴であるろうそく、杉の木の枝やスイセンの花、砂糖菓子やクルアーンも飾られることが多いのも特徴点の一つである。

 ノウルーズは元旦から数えて13日目のスィーズダ・ベダルを最終日としているが、今年のノウルーズは元旦の翌日からイスラムにおる聖月所謂ラマダーンが始まる。
 去年の10月からアゼルバイジャン地域を中心に民族問題を要因としたデモが各地で頻発し、現在デモは沈静化しているが、この政治的重要な期間がテロリストらにより政治的に悪用されるリスクが一定数存在しており、この時期において去年のような暴動が生じるリスクを警察も警戒している。
 イランを巡る昨今の情勢は必ずしも平穏とは言い難い部分も存在しているが、一部の勢力を除く大多数のイラン人は穏やかなノウルーズを望んでおり、多くの人々が平和な新年を迎えれるようにと祈っている事は間違いないと言えるだろう。

0コメント

  • 1000 / 1000

【FNH】テヘラン国際通信 日本語ジャーナル

Attention 当サイトに掲載されるニュースはすべてフィクションです。 記載された出来事・国家・人物・団体・名称等は全て架空であり、意図なく一致することがあった場合も、実在のものとは一切関係ありません。